ガーデニング

寄せ植えやお部屋を飾るあしらいなど、
簡単に季節の植物を楽しむポイントを紹介。

2024年10月16日

庭づくり 植え付け後のメンテナンス

らしく2024年秋冬号で紹介したオーナー様の庭づくり。その後の様子が気になりますね。
そこで、オーナー様に1カ月後の庭を撮影していただきました。
植物を育てる過程でさまざまな疑問や困りごとが発生しているとのこと。
今回は金子三保子先生に、それらにお答えいただくとともに、育てていく際のポイントを教えていただきました。

【撮影日付】
植え付け(らしく掲載)
7月2日
1カ月後の撮影
8月3日
▲キッチンガーデン
▲フラワーガーデン

オーナー様:キッチンガーデンもフラワーガーデンも、その成長ぶりには驚いています。

金子先生:ほぼすべてが根付いているようで安心しました。多年草は、2年目、3年目と花数が次第に増えて、今年とはまた違った趣になるはずですよ。

オーナー様:キッチンガーデンのおかげで、日々の料理にチャイブやイタリアンパセリが大活躍。妻がとても喜んでいます。フラワーガーデンでは、花を通して近所の方と話をしたり、お子さんたちから「お花がほしい!」「蝶々がかわいい!」と話しかけられたりして、交流を楽しんでいます。

金子先生:それはうれしいですね!

オーナー様:水やりやたくさんの花を咲かせるための剪定、追肥など、長く楽しむためのポイントを教えていただけますか。

金子先生:はい。以下を参考にお手入れをしてみてください。

①水やりのポイント

<タイミングと頻度>

植え付け直後から根付くまでは、数日から一週間程度は表面の土が乾いたら水やりが必要ですが、根付いてからは雨でまかなうことができます。ただし、極端に雨が降らずに土が割れるほど乾燥が続く場合は、早朝に水やりを行いましょう。

①水やりのポイント

<適した時間帯>

水やりは、午前中早めの時間帯に。
冬は、常に土が湿っていると、夜間に土が凍って根を傷めることがあるので、午後以降の水やりは避けましょう。
夏は、太陽が高い時間帯に行うと土の中の温度が高くなり、水が温まりすぎて根を傷めることになります。

<水の与え方>

水は土に与えることを意識し、やさしい水流で。バケツで一気にかけるような水やりは、表土は黒くなっても、強い水流で水を吸収する前に周囲に流れ出てしまいます。

Column プランターの場合

水やりのタイミングは「表面の土が乾いたとき」が目安。土の色は、水分たっぷりのときは黒、乾くと白くなります。表面の土が乾いて白っぽくなったら、鉢底から水が流れ出てくるくらいたっぷり与えます。

②剪定のポイント

<花がら摘みと花茎のカット>

花がら(終わった花)をそのままにしておくと、次の花を咲かせることより子孫(種子)をつくることにエネルギーを使うため、花が少なくなります。たくさんの花を咲かせるには、早めに花がらを摘み取り、花茎をカットします。カットの位置は、次のつぼみがある上で。つぼみまで切り落とさないように注意しましょう。

②剪定のポイント

<切り戻しとタイミング>

切り戻しは、株全体を切る剪定方法のこと。

秋の開花が一通り終わったら、株元でバッサリと剪定しましょう。ちょうど稲刈り後のようなイメージです。春に再び株元から芽吹きます。

初夏から秋が開花時期の草花は、7月上旬くらいを目安に、株の半分〜3分の1程度、全体的に切り戻します。そこから分枝して枝数が増えるため、花数が多くなります。その頃に切ると、梅雨から真夏にかけての植物にとって辛い時期に株を休ませることができ、気候が安定してくる9月以降に花が返り咲きます。

Column プランターの場合

秋の開花後に株元で剪定します。冬は休眠期ですが、土が乾いたタイミングで水やりを続けると、春には再び株元から芽吹きます。

③追肥と植え替え

<追肥のタイミング>

冬の気温が低い時期の植物は、肥料を吸収しないため控えめにします。
また、真夏に肥料を与えるのは、ほとんどは逆効果。人間で例えるなら、胃腸が疲れ気味で体調がすぐれないときに高カロリーの食事を摂るようなものです。真夏は、水やりだけでかまいません。

多年草
一般的な多年草は、春と秋の花の開花が始まる頃に追肥します。春と秋に与える程度で十分なものがほとんど。やせ地でも育つ植物の場合は、肥料を与えすぎると葉ばかり茂り、花が少なくなることもあります。

一年草
たくさんの花が咲き続ける一年草は、元肥の効果が切れた頃(植えてから約1カ月後が目安)に株元に与えましょう。ただし、真冬と真夏は控えめに。

③追肥と植え替え

<植え替えのタイミング>

メンテナンスを効率的にしたい場合、おすすめの植え替え時期は、初夏と秋の年2回。多年草は、うまく根付けば少しずつ大株になり、翌年も開花します。

10月〜11月
初夏〜秋まで咲き続けた一年草を抜き取り、代わりに冬から春に咲く一年草に植え替えます。多年草は、一通り花が終わったタイミングで、株元で切り戻し、空いているスペースに春に咲く多年草を植え付けます。
春が開花時期の多年草を秋に植えると、開花時期までにゆっくりと根を張ることができるので、翌年の春にはたくさんの花を楽しめます。秋に出回る苗は未開花株で小苗が多いのですが、春までに大きくなるので、草丈、横幅を確認し、隣の植物との間隔を取って植えましょう。

4月〜5月
冬〜春まで咲き続けた一年草を抜き取り、代わりに初夏から秋に咲く一年草に入れ替えます。多年草は、一通り花が終わったタイミングで、株元で切り戻し、空いているスペースに初夏〜秋に咲く多年草を植え付けます。

ガーデニングを楽しむために

オーナー様:いろいろなアドバイスありがとうございます。ぜひ、実際のお手入れに活かしていきたいと思います。

金子先生:今回は、メンテナンスを楽にするため、一度植えれば毎年花が咲く多年草をメインに、華やかさを演出するための一年草を組み合わせました。開花期間が長い花を選ぶと、メンテナンスが楽なのに、いつでも何かが咲いている状態にすることができますよ。

オーナー様:確かに、今もいろいろな花が咲いています。

金子先生:来年は多年草が成長し、今年より多くの花が咲くはず。一年草はその年の気分によって種類や色を変えていくと、全体の雰囲気に変化をつけることができます。

オーナー様:はい。どんな花を植えようか、家族で考えることも楽しいですね。

金子先生:冬を越し、春に開花したときのうれしさはひとしおです。みなさんも春に咲く花をイメージして、お気に入りの草花空間をつくってみてください。

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